コンパートメントNo.6

COMMENT

(順不同・敬称略)

居心地の悪い笑い。それがいつの間にか、胸をかきむしられるような熱情に変わっている。
寒さと寂しさが凍みる一人旅で、最悪な同乗者とのあいだに何かがスパークする。
凄かった。
こんな映画ははじめてだ。

山内マリコ(小説家)

脚本がフレッシュでした。
俳優のユーリー・ボリソフ、セイデイ・ハーラの存在そのものが、映画でした。
このような映画を今、
世界の人々が待っていた

のではないでしょうか。

北村道子(スタイリスト)

映画の舞台はロシア、
でも冬の風景がどこか懐かしいのは、
登場する場所がいずれもフィンランドの国境から比較的近い場所だからかもしれない。
主人公ラウラの心情のターニングポイントの一つとなった場所、サンクトペテルブルグは
ウクライナ紛争前までフィンランドからの鉄路の玄関口だったことも象徴的。
前半と後半の雰囲気の大転換と
最後の場面の泣き笑い、グッときました。

木村正裕
(フィンランド大使館 上席商務官)

乗りさえすれば乗客を終着駅まで
連れていってくれる列車は、
ある種の母性を感じさせる乗り物です。
北の果てから希望をもたらしてくれるこの映画に、心が暖められました。

酒井順子(エッセイスト)

モスクワの知的なコミュニティを振りきるようにして、ひとり列車で極北に向かうラウラ。
二人用のコンパートメントはさながら、
ぎこちないけれどキュートな愛の化学反応を引き起こす実験室のようだ!

沼野恭子(東京外国語大学教授)

自分という人間を推し量るために必要なもの。それは他者の存在しかないのだと思う。
寝台列車の一室に乗り合わせた男女の旅路、その心の揺らめきを通して垣間見えてくるもの。
それは、時に険しくもあり、時に容易くもある“相互理解”へと至る道の在り方。
言語の壁すら超越して通じ合う二人の想いに
胸揺さぶられた。

ミヤザキタケル
(映画アドバイザー)

そう来るな、とわかっていても思わずニッコリさせられてしまうラスト。
リョーハの奴め。
外は吹雪で極寒、車内は紫煙でモクモク、90年代のひとり旅を匂いまで感じながら
ご一緒させてもらえる映画でした。

大九明子(映画監督)

鉄道一人旅は車窓から景色を眺めている様で自分と向き合っていたりします。
この映画も長距離列車のようにゆったりと、僕に語りかけてくれました。
とあるアイテムの存在をきっかけに
物語は大きく動き出します。
これは物語?それとも僕へ問いかけ?
全てのシーンが自分への気づきになる映画です。
100分ちょっとで、一人長旅に出かけた気分になれます。
あなたもいかが?

土屋礼央(ミュージシャン、タレント)

女一人、北の果てへの列車の旅
ふれあう袖も何とやら。
思いがけない邂逅が連れてきた物語が
滑稽で愛しくて泣きたくなった。

山崎まどか(コラムニスト)